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きまぐれ日記

2014年03月15日(Sat)
【映画】
エレファント・マン

最初に謝罪します。タイトルから、勝手にB級ホラー映画だと思っていました。本当に申し訳ない。
これは名作です。色々面白い映画観てるけど、ここ最近観た中で一番よかったのはこの映画です。色んな意味で。
エレファント・マンっていうのは、その名の通り象男という意味です。この名の由来は、象みたいにでかいとか、鼻が長いというわけではなく、彼がお腹の中にいるときに母親が象に襲われるという事故に見舞われたせいだそうな。なにしろ生まれてきた子供はどうしてだか成長するにしたがってその頭は膨れ上がり、背骨はねじれ、骨は変形し、全身にこぶができるという奇病にかかっていたんだから。
まあ、つまりは奇形だったわけです。
それが象に襲われたせいかどうかはわからないけども。多分関係ないと思うんだけどな。
んで、その奇形の男に興味を持った医師が、研究のために彼を引き取ろうとするところから話は始まります。
引き取ると言っても、彼は両親の元にはいません。
彼がいるところはフリークショー、つまりは見世物小屋です。
興業主から「俺の宝物(金蔓的な意味で)」と呼ばれ、見るものに恐怖を与える見世物として生きてきたもよう。
その見た目の恐ろしさは、警察が呼ばれ、興業主が営業停止を食らうくらい。このときの警察との会話がひどい。
興業主「これはフリークショーだ」警察「フリークス(奇形)は構わない。だが、化け物はだめだ」だそうで。
奇形を見世物にする時代があったのは知っていますが、(日本でもあったし)実際に見るとなんかやっぱりショックを受ける。そして、化け物って、人間に対する言葉とは思えない。
今の時代なら人権が〜うんぬんで、絶対に作れなかった映画だと思う。
でもこの映画を私が好きな理由は、奇形うんぬんじゃないんだよ。いや、全くないかと言われればうなずけないけど。この人に怖がられ、見世物にされ、家畜同然の扱いを受けていた彼を、この医師が救おうとする過程が本当に素晴らしいんだ。
最初は研究材料として興味を持ったんだろうけど、彼の人間性に触れることで、変な言い方だけど医師は彼を一人の人間なんだと理解していくんだよ。そうして、どうにか救いたいという思いを強くしていく。
場所は変われど人の注目を浴びることになるエレファント・マンに、自分もあの興業主と同じ人間なんじゃないだろうか、と自分を疑いながらも、彼の行動は本当に愛と誠実さに溢れています。
彼を理解して人間として扱う人間と、彼を見世物としてしか見ていない人間との愛ある行動と残酷な行動が何度も繰り返し出てきて、その対比が素晴らしくも見ていて鬱になります。
人間って、本当にどこまでも優しくも残酷にもなれる生き物なんだなあ。
そのひどいことをしている人が、全く無邪気で悪気がないところがまたえげつない。
彼の心境を考えると、本当に辛くて辛くて、ここまで辛い映画はそうないんじゃないかと思う。けど辛いばかりではないところが本当にいい。
最初に興業主に話をつけた医師が彼を病院へと呼び寄せるシーンがあるんだけど、そのときに頭に彼は大きな袋を被ってタクシー運転手(あの時代は馬車だが)の手を借りながらようようにやってくるんだよ。
医師の言葉に応えず(応えられず)看護師長に叱られ、おずおずと病室へと通された彼の姿を見て、すでに私泣いてました。
もうね、歩くのも辛そうなんだよ。すごく呼吸が苦しそうで、ずっとヒューヒュー言ってる。(後で気管支炎だと判明する)質問に答えられず座ってと言われてもただ立ちすくみ、近寄られると怯える。というか、もうずっと怯えきってる。その姿が可哀想で可哀想で。
彼はこうして生きているだけで死ぬほど辛いんだと思うとなんかもう、なんでこんな人間が生まれてきてしまったんだろうと思った。
彼の人生には、楽しいこともうれしいことも、心休まることも何一つないんだよ。人の奇異の目にさらされ、興業主から殴られ、ただ怯えて、ただ辛い人生を生きてる。
むごすぎる。
だからこそ、医師の救いの手は本当に見ているこっちも救われたし、彼が安らぎや、喜びや、友情を得られたことが本当にうれしい。
ラストはだから、なんというか納得できる最後でした。彼はあの夜に、これまで生きてきた中で一番幸せで一番心満たされていて、一番生まれてきてよかったと思えたんだろうな。そして、そんな気持ちを永遠のものにしたかったんだろうな。
奇形を扱ってるなんて……と毛嫌いせずに、万人に観てもらいたい映画です。
私、バラエティとかで奇形の人が出ているとチャンネルを変えるタイプなんですが(奇形の人を見たくないというわけでなく、それを扱う番組が嫌というか。街を歩かせたり、色んな人に会わせてこれで友達だ!とかやったり、辛くなかったですか?とか聞いてるのを見ると本当に胸くそ悪くなる)、この映画はそんなそらぞらしいものじゃない。
実はこの映画、実話を元にしているんだそうです。
実際にエレファント・マンは存在して、彼の壮絶な人生をわりと忠実に描いたのがこの映画なのだそう。
つまり、彼を見世物にしていた人々も、彼を愛した人々も、実際にいたんだな。ていうか、本当にこんな目に遭った人がいたのか、と思うとショックだ。
名シーンはありすぎて、書き切れません。この映画の始まりから終わりまで、すべてが名シーンです。この映画の魅力もすごさも、私なんかには書けないです。
でも、本当にすごい映画だった。
群衆に囲まれて、エレファントマンだ!と騒がれて、彼が初めて「僕は象じゃない!これでも人間なんだ!」と叫ぶシーンがあります。
ずっと心の奥で思っていて、でもずっと言えなかったことが吹き出した名シーンでした。ていうか、本当にどこもかしこも名シーンなんだよ!帰ってきた彼を医師が抱きしめるシーンも、彼が母親の写真を初めて見せるシーンも、こんなにきれいな人に優しくしてもらえたのは初めてです、と泣くシーンも大好きだ。大好きだ。
ちなみにこの映画の時代とか映像も大好きです。19世紀のロンドンが舞台らしいけど、もうもろ好み。切り裂きジャックとかの時代もこんくらいなのかな。ジョニーは戦場に行ったも、主人公が見世物小屋に行きたいと言っていたから、もしかしたらこんくらいだったのかも。
このくらいの時代と雰囲気の映画がもっと見たい。古いイギリス最高。
あと、あまり目立ちはしないけど、本物のフリークスの人たちが出演してました。
見て取れたのは小人と大女と髭女くらいだったけども。
これも多分、今の時代では映画にできないんだろうなあ。昔はこういうフリークスのスターがたくさんいたらしい。
皆プライドを持って楽しんでショーに出たり映画に出たりしていたらしいので、それはそれでいい時代だったんだろうな。ファンもたくさんいたそうな。いや、今もいるのか。
ちなみに主人公は特殊メイクです。こちらも実際のエレファント・マンをわりと忠実に再現しているらしい。ぱっと見確かに怪物なんだけど、見慣れるとなんか可愛く見えてくる。
正直、頭から袋をかぶっている姿の方がよっぽど怖い。どう見ても怪人です。昼間でも見かけたら走って逃げるレベル。袋を脱いだ姿は、びっくりはするだろうけどああそういう病気なのかなで済むもんね。でもあの袋の姿はやばい。怖すぎる。けど、そのビジュアルも好みだった。
すべてにおいて私の好みど真ん中の映画だったよ。

エスター

ホラー映画っぽいサスペンス映画でした。
序盤のシーンとかまさにホラー。臨月を迎えた夫婦が病院にやってくる。夫が入院手続きをしている間に、看護師が持ってきてくれた車椅子に妻が座って運ばれる。運ばれながら陣痛に苦しんでいると、なにかがおかしい。見れば、血が大量に溢れて白い床にぼたぼたとしたたり落ちている。そして、手術室に運ばれた妻はもう手遅れだと宣告する医師に、死んだ子供を無理矢理かきだされる。あまりの痛みに「麻酔は?」と聞くも、間に合わない。と切り捨てられそのまま鉗子を挿入される。響く絶叫。そして、産声。無事に産まれたという看護師が見せてきた子供は、血塗れでグロテスクな奇形児だった──的なまあ、夢を見ていたわけなんだけど。
いやー、えぐかった。この序盤のシーンがこの映画で一番ぐろかった。
おかげで初っぱなからこの映画に対する期待値がうなぎ昇りました。
この夢を見た妻、主人公は、過去に子供を流産してるのね。そのときの恐怖と罪悪感がそんな夢を見させたのか、この先にある恐怖を啓示してたのか。とにかく印象的ないいシーンでした。
ちなみに流産した子供は三人目で、すでに二人子供がいるんだけど、失った子供に向けるはずだった愛情を、それを必要としている子供に向けてあげたい。ということで夫婦は養子をもらうことに。
個人的にすでに二人もいるんなら、その二人に愛情を注げばいいんでは。と思うんだけど、外国だからまた違うのかな。
養護院を訪れて、はしゃぐ子供たちに混ざらす一人で静かに絵を描いている少女に出会った二人は彼女、エスターを養子にもらうことを決意します。
エスターは賢くて、いい子で、でもちょっと変わってる。そして、彼女の近くでは妙な事件が起こる。以前にいた里親の家が焼けて家族が焼死していたり、彼女をからかった女の子が事故にあったり。
個人的に好きなホラーサスペンスの要素がいくつかあります。
人形とか子供とかかぶりものとか精神異常とかサイコパスとか。
子供が人を殺す話とか大好きです。怖くないですか。本来無邪気で愛らしいはずのものが襲ってくるなんて。昔見たなぜか子供たちしかいない島に行った夫婦が、最初は愛らしい子供たちが徐々に本性を露わにして殺されるホラーとか超怖かった。まだ小学校に上がる前くらいの可愛い女の子がにこにこしながら銃を撃ってくるんだよ。まじぞっとした。
だからこの映画も、観ながら超テンション上がってました。こんな小さな子がこんな大人顔負けのえげつない行動を……!なんて恐ろしいんだ!って、超楽しかった。
でもやっぱり子供は子供。子供に罪はないなあと無意識に思ってしまうんですよね。中学生くらいになるともう庇う気しないけど、幼い子供が犯罪犯しても、それはそうなるなにかがあるんだろうな、的な。きっとひどい親に育てられたんだろうとか、引き取られた先で虐待でも受けたんだろうとか、そうやって周囲を欺かなきゃ自分を守れないんだろう、とか。ホラーだったら悪霊がとりついてたりとか。どこか甘い目で見てしまうんですよね。
ところがどっこい、この映画は終盤でこっちのそんな子供だから……的な気持ちをあっさりと裏切ってくれます。いたいけで可哀想な子供が、一瞬にして憎むべき嫌悪対象に変わってしまった。
うげっと思ったけど、そのうげって思わせるのがすごい。
もう一回観たら、もう全然違う映画に映るんだろうな。ていうかあの子役の演技がすごいんだけど。特に最後の方。本当にあれ子供なんだろうか。


22:01

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